ハートフル・アーツ
数分後




「くそっ!くそっ!くそっ!」

ジークは甲板で地団駄を踏む


「あの男、部下をいつの間にか倒しやがって!

あのガキどもも俺の鮫を…」


「ジーク様、落ち着いてください。」

部下がなだめる


「黙れ、無能!

おい!

奴に電話を繋げ!


そして、伝えろ!

いくらでも出してやるから《あれ》を完成させろ、と!」


ジークが怒鳴る


「ジーク様…《あれ》とは…まさか…」


「全部、滅ぼしてやるんだよ!

《奈落天上の城》で!」









その頃、ビーチ


「あの馬鹿のせいで気分が乗らないわね…」

シェリーが言う


「だったら、お土産でも見に行こう!」

ジニーが言う


「そうだな、ほら、行くぞ幸大。」


なずなが幸大の腕を抱き締めて歩き出す




「つーか、幸明たちはなんであいつの船に?」

幸大が言う


「技の拳聖を手伝って調べものを、ね。

まぁ、結局、彼は関与はしてるが詳細は知らされていないみたいだったけど…」

幸明が空を見上げる


「どうした?」

幸大が言う


「いや…キレイな青空だなぁ、と思ってね。」

「そうだな。」


















日本某所


加山直仁は見つめていた携帯の画面から目を離し、大空を仰いだ



そして、静かに、重い唇を動かし、呟く




「奈落が落ちてくる。」


直仁の携帯画面は直仁にとっての絶望を表示していた



《奈落天上の城、完成率99%》



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