ハートフル・アーツ
放課後


幸大に一通のメールが届いた


『今日は掃除なんだ。

先に帰ってくれて構わない。』



なずなからのメールだ


『待ってる。

終わったら連絡して。』



幸大はメールを送ると校庭を歩き出した





「ふむ…

窓が閉まっているのぉ…」


学校の敷地内に怪しい老人が居た


「確かそこの窓って体育館の女子更衣室だよな?」

幸大が話しかける

「のひゃっ!?


わ…ワシは別に覗いたりなんぞ…」


老人が慌てる

「完全に不審者だな。」


「ええい!!


ならば仕方ない!

喰らえ!!」


小さな何かを複数、老人が幸大に投げつける


「流流し!」


ふわっ…。


幸大が全てを捌く

「ってパチンコ玉かよ。」



「ほぉ…

中々の腕前。


武術をやっておるな?」

「まぁ…一応。」


「そうか…。

頑張りたまえ…では。」



「待てよ、覗き魔。」

「ぬぉっ!?


ごく自然に立ち去るつもりが!」

老人が言う


「そんなに覗きたいのか?」

幸大が言う


「当たり前じゃ!!」


老人が力を込めて言う


「…。

あんたも武術やってるのか?」


幸大が言う


「昔にちっと教えておっただけじゃがな。」

老人が髭を指で整えながら言う


「だったら、あんたの暇な時に武術を教えてほしい。」


幸大が言う

「ほぉ…

なぜ?

今も誰かから師事を受けているようじゃが?」


「もっと色んなモノを知って…強くなりたい!


俺は弱いけど…失いたくないモノもたくさんあるから。」


「ふむ…

ワシのは普通の武術ではないぞ?


今まで誰一人として私の武術を受け継いだ者はおらんが…」


「それでもいい!」
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