12時の鐘が鳴る頃に…
「ゆきさ。可愛い顔してんだから、勿体無いじゃん。こんな格好じゃ、良い男釣れないわよ」
「釣れ…!?」
「そうよ。この際なんだから、玉の輿に乗っちゃいなさいな」
「玉の輿!?何言ってるの!こんな庶民を相手にする人なんて居ないわよ」
「「ええー…」」
ええー…って…あ、もうこんな時間!
急がなきゃ、電車行っちゃうっ。
部屋に戻り、鞄を手に取ると、
「行ってきます!」
と、リビングに居る二人に声をかけた。
すると、直ぐに
「「行ってらっしゃい」」
と言う言葉が聞こえてきて、家を飛び出したのだった。