12時の鐘が鳴る頃に…

手を握ったまま立ち上がる彼。

ダンスホールの中央まで手を引かれたまま移動する。

タイミング良く音楽が流れ始め、私は彼に体を委ねた。

私のぎこちない動きに合わせてくれる彼はやっぱり原口くんで。

最初は緊張していた私だけど、練習通りにそれ以上に。

滑らかに優雅に踊っていた。

踊っていると、音楽と自分の息遣いしか聞こえなかった。

それと、目の前の彼の心臓の音。トクントクンと心地よい音。


永遠とも思われる時間を踊っていたような気がする。

音楽が途切れた瞬間、辺りを拍手が包み込んだ。

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