12時の鐘が鳴る頃に…

原口くんは教室での様子を見るに、大人しめの人だとばかり思っていたのに、ダンスのこととなると性格が一変するのです。

それは傍から見たら面白いぐらいの変わりようです。

でも、それが当事者になると違います。その変化は一種の恐怖になる。

しかし、そのスパルタによってダンスが少しずつだが上達しているのも事実。

だから、私は何も言うことができない。

漸く、異性との距離感にも慣れてきた頃なのに、優雅にとか到底無理な話だけど。


「そういえば、貴方に聞きたいことがあるのですが」

「はい?」


音楽に合わせて踊っているとき、原口くんが聞いてきた。

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