Sweet Heart
 


そう心の中で助けを求めた時━…



「蘭様、お仕事に戻られる時間でございます」


「はぁはぁ…えっ?もうそんな時間?」


「はい」



今まで静かにただ見物していた鳥羽さんが蘭さんを止めに入り、ソッと時計を見せた


激しい言い争いのせいで息切れする蘭さんは鳥羽さんに言われて我に返り、乱れた髪を手で直す



私はようやく第1ラウンドが終わったことに安堵した



「まぁ、良いわ。今日はこの辺にしといてあげる。

次、真智ちゃんと葵の邪魔をするならタダじゃおかないから」


「けっ!知ったこっちゃねーよ」



そう最後に言いあって、きぃ兄ちゃんと蘭さんはお互いプイッと顔を逸らした



「真智ちゃん、あまり長く居られなくてごめんね?また来るからゆっくりお話しましょ!

葵!真智ちゃんを泣かすようなことしたら承知しないわよ」


「はっ、はい!」


「するか!早くうせろ!」


「鳥羽、真智ちゃんにパンフレット渡してあげといてね」


「かしこまりました」



そして蘭さんは私と葵君にそれぞれ言葉を言い残して部屋を出て行った



「ちっ。相変わらずうるせぇ女だ…」



蘭さんが部屋を出た後、きぃ兄ちゃんは気に喰わなさそうな顔で蘭さんが出た後の扉を睨んでいた 



「ねぇ、きぃ兄ちゃん?蘭さんとは一体どういう関係なの?…知り合いみたいだけど…」



私はそんなきぃ兄ちゃんに今までずっと気になっていたことを聞く



「何でもねぇよ。ただの知り合い。

そろそろ楽と心も帰ってるだろうから、俺もこいつを連れて家に帰るわ」 


「あっ、うん…気をつけてね」


「おい、葵!お前、俺様がいない隙に真智に手を出したらぶっ殺すぞ!」


「出すわけねぇだろ!てめぇも帰れ!」



しかしきぃ兄ちゃんに蘭さんとの関係をはぐらかされ、結局本当のことは聞けずにきぃ兄ちゃんとお父さんを見送った




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