Sweet Heart
 


「……と、いうわけで蘭様と喜一様は別れ、蘭様は今でも喜一様を恨んでおられるのです」



鳥羽さんがきぃ兄ちゃんと蘭さんの過去を語り終わった後、私は何も言えずにいた



そういえば昔、きぃ兄ちゃんが綺麗なお姉さんを家に連れて来て一緒にご飯を食べたことがある


あれは蘭さんだったんだ…



鳥羽さんに言われ昔のことを思い出す

だけど重要なことはそこじゃない…


蘭さんがきぃ兄ちゃんをひどく嫌う理由はきぃ兄ちゃんが蘭さんに理由も言わず別れを告げたから…

だったら…



「だったら蘭さんにきぃ兄ちゃんが堀川グループの御曹司に脅されたことを言えば良いんじゃないの!?」



きぃ兄ちゃんが別れを告げた理由を蘭さんに教えたら良いじゃん!



私は何気なく思い浮かんだことを鳥羽さんに言った


しかし



「…それで元に戻れるなら良いんですけどね」


「鳥羽さん…?」



鳥羽さんは私の意見に賛成してくれずただ苦い笑みを浮かべるだけ



「では蘭様もお待ちになっているので私はこの辺で失礼いたします」



そして今度こそ鳥羽さんは私と葵君に軽く頭を下げて部屋を出て行った




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