Sweet Heart
ヒーローマン(偽)の言う通り。もう、抵抗しても意味ないよね。
「良いよ。今度こそ本当にわかったから。」
「ありがとう!真智~!」
堪忍した私は、もう抵抗することを止めて、渋々認めることにした。
そんな私にお父さんは嬉しそうに抱きつく。
「では改めまして、今日から許嫁になったのでお互い自己紹介をしましょう!」
五十嵐さんはそう言うと、私とヒーローマン(偽)を向かい合わせにさせた。
初めてヒーローマン(偽)のことをちゃんと見る私。
猫っ毛な黒髪で、前髪には茶色のメッシュが入っている。
そして目つきは悪いけど、瞳は凄く綺麗に澄んでいて、全体的に容姿も整っていた。
ヒーローマン(偽)ってこんなに格好良かったんだ…。
「…五十嵐葵。高2。」
「榎本真智です!!私も高2だから仲良くしようね!!」
ヒーローマン(偽)…いや、五十嵐葵(イガラシアオイ)君は私の前に手を差し出した。
「よろしく!」
私は葵君の差し出した手を握り、握手をする。
初めて会った時は、怖い人だと思ったけど
良い人みたいだね。
葵君の手から優しい温もりを感じ、私は安心した。
「2人共仲良くなれそうだし!良かったよ!」
「明後日から同棲しても大丈夫そうだな!」
「「同棲━!?」」
こうして私と葵君の運命は大きく変わっていった━…