Sweet Heart
「武蔵の野郎…空手部に入らないかってしつこく勧誘してきやがって…、
ずっと逃げ回ってたっつぅーの。」
「それは大変だったね。お疲れ様!」
私は葵君に笑顔でそう言うと、冷たいお茶を差し出した。
葵君も"ありがとう"と呟いてお茶を受け取る。
初めは葵君と会話するだけでも少し緊張していたのに
今では何の緊張をすることもなく気軽に話せる。
これも葵君と仲良くなれた証拠かな?
ちなみに葵君は、武蔵と柔道をして勝ってから武蔵をはじめとする運動部(主に格闘部)の人達から勧誘を受けてばかりいる。
葵君自身はどの部活にも所属するつもりはないらしく、毎日運動部の人達から逃げ回っていた。
せっかく才能があるのにもったいないな~!
でも運動部に入らないつもりなら、私が所属している家庭科部に入ってくれないかな…。
葵君が料理を作ってる姿が想像できないけど!
そんなこんなで今日も平和な日を迎えられる…
かと思いきや…
━ピロリロ~
嵐の訪れはこの1本の電話から始まった…。