不器用上司のアメとムチ
俺の発言で、管理課内の空気がぴんと張りつめた気がした。
それを、一番に破ったのは霞だ。
「――――久我、見苦しいぞ。そんな仕事、明日でも構わないってことくらい管理課の人間でなくともわかる。
……はっきり言ったらどうだ?僕にヒメを渡したくないって」
憎らしいほど、綺麗な微笑を浮かべる霞。
ヤツから目をそらして梅を見ると、期待のこもった眼差しで俺を見てる。
痛いくらい、真っ直ぐに。
「……今はまだ、言えない」
俺は、ため息とともにそんな言葉を吐き出した。
梅を霞に……他の男に渡したくないのは確かだ。
でも、それは何故かと聞かれたら……胸を張って説明できない。
「それなら、今日は僕がヒメをもらうよ」
霞が梅に、スッと手を差しのべた。それこそ、王子のように。
梅はそれを掴んで俺に背を向け、二人は管理課を後にした。