不器用上司のアメとムチ

「よかったじゃない!おめでとう〜!!」

「ありがと、梅チャンのおかげ」


ふふ、こういう話を聞くと無条件に嬉しいなぁ。

いいなー佐々木。お幸せに!


すっかり仲良くなったあたし達がその後も会話を続けていると、森永さんと小出さんが出社してきた。


「――佐々木、久我さんに続いてあんたまでこの子にたらし込まれたわけ?」



一気に室温を下げるような発言をするのはやっぱり森永さんだ。

別に誰のこともたらし込んでないんですけど……


「梅チャンは話してみればイイ子っすよ」


さ、佐々木があたしを庇った……!


「ふうん。でも仕事ができない馬鹿女に変わりはないんでしょ?」

「……それはそうかもしれないけど」


……そこは庇ってくれないのね。いいわよ、どうせ馬鹿ですよ。


「そういえば久我さんは?」


隣の席の小出さんに聞かれて、「まだ来てないみたいです」と言おうとしたら、あたしのデスクの上の電話が鳴った。


どうしよう……!

でで、電話取るの初めて!!


「ちょっと!早く出なさいよ!その音、外線よ!」


まごまごするあたしを森永さんが叱りつけた。


っていうか外線!?

でもやるしかない。あたしだって立派な社会人なんだ。

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