NA-MI-DA【金髪文学少年の日常】
「お前の彼女?」

「違う」

「彼女だろ」

「違わい」

「うそつけ彼女だ」

「お前しつけーな」


日曜日、待ち合わせの駅でナミダの隣に女子がいるのを見てとると、凪人は思ったとおりの反応をした。


無表情で詰問するのはやめて欲しい。


「わたし、ナミダの彼女じゃないよ」


仏頂面の少女の口から発せられた妙に可愛らしい声に、はじめの頃のナミダ同様凪人は一瞬フリーズした。


しかしここはさすが凪人で、


「ナミダって、呼び捨てなんじゃん」


となぜか勝ち誇ったように言った。


凪人に遠藤のことは知らせていなかった。


メールも電話も出来ないし、家に行くことも出来ないしで伝えようがなかったとも言える。


基本、凪人の方から動いてもらわなければ接触は図れない。


「凪人です。ナミダの友達」


「遠藤です。ナミダのクラスメート」


お互いにマイペースすぎる自己紹介をする二人に、並べてみるとこいつら少し似てるな、と今更ながらに気づく。


しかし、なぜ二人とも名前or苗字しか名乗らないのか。


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