おいでよ、嘘つきさん。

三人

ネリネとも仲直りができたミモザは、明るく学校へ行きました。

授業が始まる前、一人の男の子が紹介されました。
隣町から引っ越してきた、転校生です。
男の子を見たミモザは驚きました。
ミモザと同じ赤髪だったからです。
「わぁ!私と一緒!」
ミモザは嬉しくなりました。
男の子の名前は、ストット。見るからに弱そうな男の子です。

休み時間、ストットは早速いじめられていました。
「赤毛のストット!」

「赤い髪は馬鹿!」

聞き慣れた言葉に、ミモザは溜め息がでました。

ミモザは席から立ち上がり、近づきました。
「あんた達って、赤毛が羨ましいのね。嫉妬なんて、見苦しいわ!」

すっかり、明るくなったミモザの怒鳴り声に虐めていた連中は逃げ出しました。
これが、きっかけで赤毛の男の子ストットとは友達になりました。
ストットは、前の町でも虐められていたそうです。
ミモザは他人事とは思えず、ストットを励ましました。
「自信を持って!私たちは友達よ!」

ストットは、弱々しく笑いながら頷きました。


ミモザは家に帰ると、嬉しそうにネリネに話しました。
「私と同じ赤い髪の男の子が転校してきたの!ストットって名前の子よ。虐められてたから助けてあげたわ」

ネリネは静かに頷くだけです。ミモザは続けました。
「ストットと友達になれたの!今度、遊ぶ約束をしたからネリネも一緒に行こうね」

この言葉にネリネは笑顔で答えました。
「よかったね!でも、一緒にはいけないや。ごめんね」

ミモザは戸惑いました。ネリネも喜ぶと思っていたのに断り、しかも寂しそうだからです。
「何で?ネリネ、一緒に行こうよ。ストットは怖くないよ」

「ううん。一緒には行けないの。私の事は、気にしないで。ミモザは楽しんできてね」

「嫌。二人で一つでしょ?ネリネ、最近おかしいよ」

「二人で一つだよ。ごめんね、お願いをきけなくて」

その後、沈黙が続きました。ミモザは少し腹が立ちました。理由も言わず「行けない」としか言わないからです。
ネリネはミモザと目を合わさず、下を向いています。
先に口を開いたのはネリネでした。
「ごめん。行きたいんだけど、美容師の勉強とかがあって…。だから、無理なの」

ネリネは下を向いたまま。
ミモザは「嘘ついてる」と思いましたが、追求はしませんでした。
「わかったよ。美容師の勉強がんばってね」

ミモザは言い終えると、すぐにベッドに入ってしまいました。

ネリネは下を向いたまま、しばらく動きませんでした。
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