おいでよ、嘘つきさん。
メリアは一軒の洋服店にいました。


この店は、庶民じゃ手も足も出せない値段の洋服ばかり。


ショーウインドーを、指をくわえて見るくらいしかできません。


「メリア様、今日はどのような洋服をご用意致しましょう?」


「ありったけよ。全て試着するわ。気に入れば全て買う」


「はぁ!さすがは、メリア様!すぐさま、ご用意致します」


メリアは大きなソファーに、堂々と座り煙草に火をつけます。


その傲慢な態度は、悔しいほどに似合っているのです。


青、赤、金、銀、白、黒…。

言い出したら切りがない色の、様々な洋服が並びます。


メリアの好きな色は金。


エキゾチックなメリアには、金がよく栄えるのです。

サラサラの布を好み、体の柔らかさを強調するのがメリア流。


「あぁ、たまらない…。選べないわぁ」


メリアの魅力的な瞳は潤み、キラキラと輝いて見えます。


店員も、思わず心が奪われてしまいます。


一枚、一枚、試着をしてポーズをとるメリア。

まるで、メリアのために作られたかのように似合っています。


シースルーの金と紺色が混じったドレスにメリアは恋をします。

でも、金と銀の涼しげなロングドレスも…、いや、金と赤の情熱的なドレスも…。


「駄目!選べない。全てちょうだい」


「さすがは、メリア様!」

メリアは、いつも全て購入します。


そして、また驚くべき金額を軽く支払い、悦に浸るのです。

両肩に洋服の入ったバックをかけた瞬間。


これも、メリアのお気に入りです。


「美貌を最大限に活かす。仕事のためよ」


メリアは満足げに思うのです。
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