おいでよ、嘘つきさん。
ご主人が、笑いながら言います。
「いや、すまない。正直すぎて思わず笑ってしまった。ありがとう、妻がこんなに笑ってるのは久しぶりだよ」

奥様の方は、ハンカチで涙をふきながら笑っています。
アザミは思いました。
「悪くない人間の方ね」

ご主人は続けます。
「実は、私達には子供がいないのです。その事に、妻が酷く悩み続けていたみたいで…。私は、仕事に忙しく妻の悩みに気づいてやれなかったのです。だから、せめてもの償いとして妻の好きな旅行をしているのです」

アザミは、思わず聞き返してしまいました。
「お子さんが、欲しいんですね!?」

ご主人は、少し驚きつつも「はい。でも、なかなか…」と答えました。

アザミは神に感謝します。
「あぁ、神様ありがとう」
すぐに、アザミは話し始めました。
「私の遠い親戚の子供が、里親を探しているのですよ。とても、純粋な男の子です。きっと、気に入られるはずです」

その言葉に、奥様が反応しました。
「それは本当!?あぁ、何て素晴らしいの!貴女の推薦なら間違いないわ。是非、迎えいれたい!」

ご主人は、笑いながら言いました。
「あぁ、確かに!しかし、一度会ってみたいのですが…。男の子の反応も着になりますし、勝手に決めるのは男の子にも失礼ですよ」

アザミは頷きました。
「ええ、もちろん。明日、私の家に来て下さい。地図を書きますね!」

アザミは興奮していました。
「これで、オリーブの夢が叶う!」

地図を渡し、明日の朝10時に約束をしました。

夫婦も楽しそうで、特に奥様は「幸せ」と何度も言っていました。
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