おいでよ、嘘つきさん。
アザミは、クシで髪のほつれを取っていきます。
絡まりすぎている部分は、丁寧に丁寧にほぐします。
アザミは髪に集中しすぎて、無言です。
オリーブは、何だか自分が王子様になったみたいだ、と思い恥ずかしくなってきました。
「ねぇ、アザミ。何で今日は、こんな事するのですか?」

アザミは我に返り、オリーブの顔を鏡越しに見ました。
オリーブは、不思議そうな顔をしています。
アザミは笑顔で答えます。
「私って、やりだしたら止まらない性格なのよ。オリーブの髪にしてもそうよ。こんなに絡んでるとは思わなかったわ」

「髪なんて、気にしたことないです。がしがしって洗ったら終わりです」

「まぁね。でも、この服にはこの髪じゃ駄目ね」

オリーブは、また照れてしまいました。
納得したようで、ぼーっと鏡を見ています。

アザミは、やっと絡んだ髪を大方ほぐし終えました。
時計を見ると、9時40分です。
本当は、髪を切ってやりたかったのですが諦めます。
仕上げに、馴染ませるようにクシで丁寧にといでいきます。
オリーブが、また聞きました。
「ねぇ、アザミ。何で時計ばっかり気にするのです?」

「特に意味は無いわよ。ただ、どれくらい時間がかかったのか見ていただけ」

オリーブは「そうですか」と、言いました。
しかし、今回は納得していない様子です。

アザミは、オリーブの髪をとき終わり鏡越しに見ました。

真っすぐな銀の髪に白い肌、オリーブの瞳、それに新しい服。
立派な男の子が、そこにはいました。
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