おいでよ、嘘つきさん。
新緑が美しく暖かい陽射しの中、アザミとオリーブは正装で立っています。

二人とも、心なしか緊張しているようです。


オリーブは、胸に赤い花を飾っています。

御夫妻は笑顔で見つめています。

写真屋が言いました。
「緊張しすぎですよ!もっと笑って下さい」


アザミとオリーブは恥ずかしくて笑えません。

そんな様子に御夫妻は大笑いです。

写真屋が、また言いました。
「一生、残る写真ですよ!ほら、笑って!」


オリーブは、もじもじとしています。

アザミも恥ずかしさでいっぱいでしたが、オリーブを見て笑ってしまいました。

写真屋は言います。
「お姉さんは良い表情ですよ!僕もお姉さんを真似て!」


しかし、オリーブは顔が真っ赤になり下を向いてしまいました。

アザミは、オリーブに言いました。

「オリーブ、入学おめでとう」

そう言い、オリーブの手を握りました。

オリーブは初めて人と手を繋ぎました。
何故か、とても安心します。

そして、何故か涙が出てしまいました。

御夫妻は、そんな二人を優しい眼差しで見ています。

写真屋は笑ってしまいました。
「僕が泣いちゃったよ!まぁ、でも良い顔だ!撮りますよ!」


二人の記念写真は、アザミが笑い、オリーブが泣いています。しかし、強く手を繋いでいます。

オリーブの夢「アザミとずっと一緒にいる」は、叶ったんだ、と思わせてくれる写真です。


伝統ある奴隷一族。

親がどうであれ、一族がどうであれ、人は一人一人違うのです。


それに、気づけるかどうかで全てが変わります。

周囲の人達だけでなく、本人達が気づけるか、これも大切です。

アザミとオリーブは気づけました。

頑固なアザミとオリーブが気づけたのです。


気づければ、どんな夢でも叶います。


大切な夢を叶えましょう。



ローズブーケ
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