おいでよ、嘘つきさん。
しかし、奥様は言いました。
「嘘はいけません。寂しいと顔に出ています」

アザミは驚いてしまいます。
奥様は続けました。
「アザミさん、もっと自分の気持ちを考えてあげるべきですよ。我慢はしなくて良いのです」

アザミは、また恥ずかしくなり言い返せません。
オリーブは、奥様を見ています。
奥様は、オリーブに言いました。
「オリーブ君は、アザミさんと離れるのが嫌なのよね。アザミさんが、どう思っているか聞いてごらんなさい」


オリーブは、恥ずかしそうにアザミに聞きました。
「アザミ、僕と離れるの寂しくないのですか?」

アザミは戸惑いました。
素直に言ってしまって良いのか分からなかったからです。
しかし、アザミは正直に言うことにします。
「寂しいわよ。でもね、オリーブの夢が叶わない方が寂しいのよ」

オリーブは黙りました。

すると、ご主人が話してきました。
「すまないね。私の意見を言わせてもらうよ。昨日、妻と話し合って決めたんだ。オリーブ君は素晴らしい子供だ、是非迎え入れたいと」

アザミは安心し笑顔になりました。
オリーブは下を向いてしまいます。
ご主人は続けます。

「それに、アザミさんも素晴らしい女性だ、是非迎え入れたいとね」


アザミは時間が止まりました。
オリーブは、目を輝かせご主人を見ています。
ご主人は聞きました。
「二人一緒に、我が家に来てもらえないだろうか?アザミさんは仕事もあるが、私達の町でも必ず成功するはずだ」

アザミは固まったまま。
しかし、オリーブが答えます。
「はい!僕の夢が叶いました!」

御夫妻は笑いながら「オリーブ君の夢は、まだ叶ってないよ。これからだ」と、言っています。
しかし、オリーブは「叶った」と喜んでいます。

アザミは、徐々に冷静になっていきました。
そして、聞きます。
「本当に良いのですか?」

御夫妻は笑顔で答えます。
「勿論です」


アザミは、急に嬉しさが込み上げてきました。
まさか、自分までもオリーブと一緒に御夫妻に迎え入れられるとは思ってもいなかったからです。
自分達の過去全てを知っても尚、受け入れてくれる人間がいることに驚きました。
アザミは心から言います。
「ありがとうございます」

二人にとって、102日目は忘れられない一日となりました。
< 61 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop