おいでよ、嘘つきさん。

死神

「何で!何で!?アスターは生きるのよ!!」


プルメリアは悲しみと怒りに満ちて町を歩きます。

じっとしていられないのです。

医者の言葉が頭を過ぎります。


「あんなの嘘よ!だって…、だって…!」


プルメリアは立ち止まります。


「アスター…、お願い。死なないで。私の目が、おかしいって証明して…」


プルメリアは死神が見えます。
その力をプルメリアは呪いました。


立ちすくむプルメリア。

すると突然、一人の男性がプルメリアに怒鳴ってきたのです。


「あぁ!?これは、これはぁ、悪魔の申し子プルメリア様じゃないですかぁ!?」


プルメリアは驚きます。

男性は顔がまっかで、呂律がまわっておらず、足元はフラフラとしています。


「最悪だわ…!酔っ払いに絡まれるだなんて!!」


プルメリアは、ため息が出ます。

それでなくても、気分の悪いプルメリアに酔っ払いが絡んできたのです。


プルメリアは無視をして歩きだしました。


「鬱陶しい!真っ昼間から、お酒を飲むだなんて!こんな人と関わりたくないわ」


プルメリアはスタスタと歩きます。


「死神の申し子でございましたか!?これは、失礼〜!プルメリア様は、死神の申し子で〜す!!」


酔っ払いは、プルメリアに次々と罵声を浴びせます。

プルメリアの後をついて来ては、町中に響き渡るほどの大きな声で騒ぎ立てるのです。

その声に、「何事だ!?」と、町中の人々はぞろぞろと家から出てきました。

それに気を良くしたのか、酔っ払いは更にプルメリアを罵るのです。


「死神が見える!?見えない!?どっちが、本当なんだ〜!おい、プルメリア答えろよ!答えによっちゃ、お前は嘘つきだぁ」


町中の人々はハラハラしながらも、耳を澄まし話しを聞いています。


プルメリアは唇を噛み締め、無言で歩きます。
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