おいでよ、嘘つきさん。
父親は言いたい事だけ言うと、プルメリアの答えを待たずに部屋から出ていこうとします。


その姿を見て、プルメリアに力が戻りました。


「駄目です!嫌です!!」


プルメリアの叫び。

父親は足を止め、プルメリアを見ます。

プルメリアは続けて訴えます。


「アスターは!?アスターは、どうなるのですか!?パパはアスターの面倒を見ていないじゃないですか!アスターが心配です!」


プルメリアは必死に、叫び続けます。


「お願いします!アスターの側にいさせて下さい!私は、母親が居なくても大丈夫です!私が母親になります!」


プルメリアの訴えに、父親ひ苛立ちます。

しかし、あまり厳しい事は言えません。

町中の人々の噂。

「死にたくなければ、プルメリアを褒めろ」

父親も、同じ考えなのです。

プルメリアは必死に縋り付いてきます。

父親は何も言えず、ただ困惑した顔しかできないのです。

「女の子には母親が必要なんだ。プルメリア、分かってくれ」


「要りません。私は、自分の事は自分でします。お願いします!アスターの側にいさせて下さい」


「残念だが…。先方とも話しがついているんだ。今更、断れないだろ?」


「何とかならないのですか!?アスターの事を伝えれば、きっと理解してくださいます」


「うぅ…。しかし…」


「お願いします!パパ、お願い!!」


父親は何も言えなくなりました。


「とりあえず、保留にしよう」


父親が最後に言ったのは、これだけ。

逃げるように部屋から出ていきました。
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