狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】
嘘……。見失っちゃった?
キョロキョロとあたりを見回してみても、狼谷君の姿は見当たらない。
一言だけでも言葉を交わしたかったのに。
あいさつするだけだっていいし、
目を合わせるだけだっていい。
狼谷君とはあの手袋の一件以来、一言も言葉を交わしていない。
同じクラスじゃないし、校内ですれ違うこともほとんどない。
遅刻早退欠席が当たり前の狼谷君と会うのはなかなか難しい。
さっきは一人でいたし、話しかける絶好のチャンスだったのに。
「あ~あ……。残念……」
がっくりと肩を落として自然とそう呟く。
あたしはやっぱり、自分でも信じられないくらいに狼谷君を好きになってしまったみたい。