日陰より愛を
「……まぁ、いいけど。元気そうでなによりです。さぞかしいい生活を送られているんでしょうね」
そんなはずがない。
あなたがいない生活が、いいもののはずがない。
私にとってあなたが全てだったから。
……それでも、それを言うわけにはいかない。
私は日陰の存在で。
彼は輝き続ける太陽。
彼の知らないところだとしても、陰で支え続けなければ。
私が必死にいろいろなものを堪えていると、もう一人の人物が現れた。
「やあ、待たせたね。……おや? 今回は前島くんが担当じゃなかったかな」
「社長、遅刻ですよ」
その声を聞いて、私はすぐさま立ち上がった。
「はじめまして! 私、前島の後輩で篠崎葵と申します。前島は今、電車の都合で遅れておりまして…。すぐに参ると思いますので」
そう言って、名刺を差し出した。