※公開終了間近! イロモノなアタシ
あからさまに残念そうな顔をされても、困るんですけど。


すみません、期待外れで。


「ごめん、まだ鳴瀬さんとは何もしてない」
「おバカさん! それでこんな時間におめおめと帰って来られたわね」


あの、娘の貞操とかそういう観念は無いんでしょうか? お父さん。


普通の家では朝帰りなんかしたら、お父さんは口をきかないって相場が決まってるんですけれども。


「やだもー、あたし一生懸命シンデレラに魔法を掛けたのに」
「蘭子さん、仕組んでましたね。ひどいですよ、理由も言わないで」
「だって鳴瀬ちゃん、真剣な顔して言うんだもん。『シホちゃんが俺の事、避けてる理由って何でしょうか? 』って」


オカマにそんな相談までして、どういうつもりだ。
食器棚からワイングラスを出して、テーブルの上に置くと、シャトーマンゴーのビンを逆さにしてドボドボ注ぐ。


「とにかく、彼とは……」
「何よ、志穂ちゃん。私はね、あなたがあのイケメンと幸せになって欲しいだけなのよ、21年間なんのために育てたと思ってるの? 」
「イケメン過ぎて、ダメなんだってば! おまけに優しいし、あたしの事を凄く好きになってくれてるし」


ゼイタクな悩みだって分かってるよ、でも、人の目が気になるんだ。

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