※公開終了間近! イロモノなアタシ
その瞬間、あたしの中にあった可愛い彼女に対するわだかまりが消えて、自分から友達になろうと言い出せた。


「綾女ちゃん、友達になろ」
「本当にー嬉しいー、志穂ちゃんってー真面目だしー頼りになるからー」


それからもう6年。


「ケーキおいしーねー」


目の前の綾女は、何ら変わっていない。


「美味しいね、綾女」
「志穂ちゃーん、ねー、またお家に遊びにいってもいーいー? 」
「いいよ、でもレポートが終わってからにしようね」
「うーん、そうするー」

喫茶店でケーキを食べ終えてから家に帰ると、お父さんが和服姿で花束を手にしていた。


「またお母さんの所にいくの? 」
「月命日だもの、晃の。あんな場所に1人じゃ寂しいし、私だって会いたいから」


後れ毛をかき上げながら衿を正している様子は、未亡人そのもの。


こんなに愛されているのに、お母さんはこの世に居ない。


「じゃあ行くわね」
「行ってらっしゃい」


店の開店時間まで後3時間、少し休もうとソファに寝そべってダラダラとテレビを見る。
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