※公開終了間近! イロモノなアタシ
次々と呼び出しを受ける中、あたしは最後まで残されていた。


どういう意味だろう、もしかして『土下座までしたヤツは、どうせ落とすし最後でエエやん』とか……。


ここまで呼んでおいて、それは無いだろ。


でも、ハギモトならありえる。


「お待たせしました、大沢さんお入り下さい」
「はいっ! 」


ビクッと椅子から立ち上がり、ドアをノックした。


「どうぞー」
「失礼します、大沢 志穂でございます」
「そこへ掛けて下さい」


言葉は標準語なのに、イントネーションが関西だ。


居並ぶ顔と名札を見ると『取締役』『常務』『専務』『本部長』『人事部長』の5人、そして、その後ろにポツンと赤ら顔のオジサンが安っぽいスーツで座っている。


あの人誰なんだろう、多分、下っ端かも。
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