※公開終了間近! イロモノなアタシ
「ごめん、綾女。あのさ……」
『連絡ー来るのをー待ってたのー、私こそーごめんなさいー。レイ君からー、ちゃんとー話を聞いたのー、クミさんがー自殺未遂までー』
「そうか……」
『それでもいいーって聞かれたけどー、でもー、人を不幸にしてー自分が幸せにーなるなんてーいけないとー思ってー』


間延びした口調、でも、今日はそれがうざったく感じない。


いつも通りの綾女だと、分かったから。


「でも、綾女、あたしさ」
『いいのー、だいじょうぶー。だって、志穂ちゃんはー本当に心配してーくれてるってー分かったしー』


本当に心配したんだよ、あの時。


不幸にさせたくないから、ごめんね。


「綾女ぇぇぇ……」
『志穂ちゃーん……」


後は、2人で電話越しに泣いた。


悔し泣きじゃなくて、嬉し泣き。


胸の中に詰め込まれていた重い石が、ボロボロと崩れて行く。


「明日、学校に来る? 」
『行くよー、だってー進級するしー』
「じゃあ、ケーキ食べに行こう」
『うんー、そうしよー』


こうして、あたしと綾女は元通りの関係になれた。


ありがとう、蘭子さん、浩さん。

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