※公開終了間近! イロモノなアタシ
異常な環境だとは小さい頃から知ってたけど、改めて考えるとよくグレなかったものだ。


いや、ブサイクだからグレようが無かったかも。


不良だって、見た目が優先だし。


ぼんやり考えていたら、時間が来てしまった。


「お支度は出来たのかしら? 志穂ちゃん」
「はい、いつも通りですよ」


先回りをして、お説教を封じ込める。


今日のお父さんの服は、真っ赤なデォールのカバンに真っ白なロングタイトスーツ、帽子は銀座で作らせたつばの広いシフォン生地。


女優みたいなナリをしてはいるけど、付いてる物は付いてるし。店に到着すると、蘭子さんが汗まみれでレッスンに励んでいる。


日々のたゆまぬ努力が、あの華麗なショーを支えている。


同じくクミさんも、まあこっちは夕べのお酒抜きのためだとは思うけど。
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