※公開終了間近! イロモノなアタシ
「志穂ちゃん、お願いー」
「ねえ、綾女。彼氏を作る気が無いなら、コンパなんか行かなくたっていいでしょ」
「でもー、サークルのコがーどうしてもってー」


まあ連中の考えている事は良く分かる、可愛い綾女を連れて行けば主催者のメンツも立つし、それに彼氏を作る気が無いと相手方に分かれば自分達にお鉢が回って来るだろうという思いがあるに違いない。


両手を合わせてチワワの様な大きい瞳をうるませながら上目づかいをする彼女に対して、即座に断りを言うのも気が引けたが、嫌なモノは嫌だ。


「あのね、綾女」
「なーにー? 」
「悪いんだけど、今日はダメ。もう毎日バイトでしんどいし、正直、就職先も決まってないから行きにくいんだ」
「でもー」


でも、じゃない。


お願いだからそんな瞳であたしを見ないで欲しい、困るでしょうが。


「志穂ちゃーん、お願いー」
「ごめんね、断るのが辛いならあたしも一緒に断りを入れるからさ」
「本当に! 嬉しーい」


やれやれ、何で他人のコンパの断りまで入れなきゃいけないんだろう。


相手には綾女の誘いなのに、何であたしが断りを入れるんだと文句を言われたが、本人にその意志が無いのだからと説明し、納得してもらった。





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