オンライン中毒
 セキュリティ万全な監視カメラ付のチャイムを指先で弾く。今まで何度このベルを押してきたことか。


貯金をいくら貯めたら、このチャイムを押すことがなくなるのだろうか?


「あ、朋子さん、鍵は持っているわよね? どうぞ、お入りになって。今日は随分と早いのね?」


インターホン越しに姑が喋る。答えずに鍵をドアノブに差込み、くるりと回した。


扉を開き大理石の玄関には、やせ細った着物を纏った姑が立っていた。


「今日は少し体調が悪くって、早退したんです。その分、お義父さんの部屋を綺麗にできると思いますので、心配しないで下さいね」
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