私は最強ビンボー女!
―朔side―
夏の日差しは強い。
まだ8時だというのに、すでにもう汗ばむ。
特にここは、最上階・・・つまり3階の最も奥の座敷だ。
容赦なく日差しが畳を照りつける。
葵さん――いや、葵様と呼ぼうか。
今こそ、葵様と呼べる時なのだから。
葵様は日差しに目を細めながらも、空を見ているようだ。
しかし。
すぐにその視線を俺に向ける。
「朔。前にも、おぬしとは話したの。」
微笑みながら俺に語りかける。
「はい、そうですね。」
あの時あなたは、俺に教えてくれましたね。
――あなたは自らの未来に、裏切りを選んだということを。
「あの子は・・・何をしでかすかの。」
どこか面白がるように、彼女は笑う。
俺は、美しく着飾った彼女を、ただ見つめた。
老婆だというのに、妖しげで艶やかなその姿を、ただ見つめた。