私は最強ビンボー女!
葵は涙を流しながら、ぎゅぅっと拳に力を入れた。



『愛しちゃ、駄目だったんだ。

母さんは、あたしを大切だとは言ったけど、愛してはいなかった。


愛したら・・・・・・強制、できなくなる。』



独り言のように呟き、自嘲気な笑みを浮かべる。



『今頃気付くなんて、馬鹿だね・・・。

でも、これから頑張れば、大丈夫さ・・・・・・』






儚げに笑った葵は、皮肉なくらい綺麗だったよ。










―――そんで、海は葵が言っていた通り、俺に連絡をよこした。



どうやら、貯金箱を持って逃走したらしいな。

公衆電話からだったよ。




《お父さん、海、家出たいの。あの、その・・・力、貸してくれる?》


俺は、泣きたくなる衝動を堪えて言った。



『いいよ。力、貸してやる。』




そうして海は、俺の昔親しくなった、金持ちのお婆さんのとこに、海を預けた。


一ヶ月に一回くらい、海から連絡があったよ。




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