私は最強ビンボー女!
頭の中に浮かぶのは――杞憂さんの真っ黒スマイル★


「お仕置き・・・お仕置き・・・・・・」

頭を抱えてガクガクと震えていると。



「じゃ、行ってくる。」


葉月が私の傍に立ち、さらりと言った。



「あ、緋月ちゃんのとこ?行ってらっしゃーい」


私は、決然とした顔で頷いた葉月を、震えながら見送った。




――頑張れ・・・。


そう、エールを送りながらも、私は昨日知った葉月の想いを思い出し、胸をツキリと痛ませた。



『汚したくない』

『幸せになってほしい・・・』



ねぇ葉月、ごめんね?


日岡さんは、そんなふうに思ってないよ、って、私、言えないんだ・・・。

葉月に、何にも、言うことが出来ないんだ・・・。


だって、日岡さんの気持ちはおろか、私は恋する気持ちを知らない。

恋をしたことがない。


なんとなくは、分かるし・・・きっと、日岡さんの幸せは葉月と笑いあうことだと思う。


でも、恋をしたこともない私の言葉を、たぶん葉月は信じない。



それに――


もしかしたら、葉月のそんな思いを、日岡さんも知っているのかもしれない。




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