*正しい姉弟の切愛事情*


「俺に、触られたく、ない?」
 

訥々(とつとつ)と発せられる声に、なぜか胸が苦しくなる。


「そんなことは、ないけど……」  

「けど?」


逸らすことを許さないような強い視線。


動けない――



「一歌」


ベッドサイドに背中を預けたまま、徐々に近づいてくる瑞貴から逃れることができなかった。

そして、


「イヤだったら、拒んで」


小さなつぶやきが落ちる。


そんなにまっすぐ見つめられたままで、



拒めないよ――




目の前の顔がわずかに傾き、一瞬だけ、ためらうように唇が触れ合った。


 
心臓が止まりそうだ。


私の顔色をうかがう瑞貴。

見つめ返すと、もう一度、今度はしっかりと私の唇を覆った。 



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