【完】隣の家のオオカミさん


「──はい、お疲れ様。及川さん、もうあがっていいよ」



小さな袋を差し出しながらニコッと笑う店長の奥さん。



「新作だって。食べたら感想聞かせてね!」

「わぁ、ほんとですか!ありがとうこざいますっ」



両手で受け取ってわたしは袋をまじまじと見つめた。

ふわふわしててすごくおいしいんだよね、ここのパン。

街でもちょっと有名なパン屋さんなんだって。


こんなすごいところで働かせてもらえるなんて、すごく嬉しい。



素早く着替えをすませもう一度挨拶してから店を出る。

バイト先が変わっても大上くんは変わらず迎えにきてくれる。

< 120 / 393 >

この作品をシェア

pagetop