【完】隣の家のオオカミさん
うどん屋とアパートまでは徒歩10分ぐらい。
大上くんのバイトが終わる時間とわたしの終わる時間がだいたい同じだからこうして迎えに来てくれて一緒に帰ってるんだ。
別に一人でもちゃんと帰れるんだけどさ。
でも、一人よりは二人の方が楽しい。
「……帰るか」
繋がれた手を握り返す力もなかった。
なんでこんなにも仕事ができないんだろう。
覚えようとは努力しているのに、頑張ってるのに。
もう、逃げたい。
バイトを辞めたいという甘い考えがわたしの頭から消えてくれない。