腕枕で眠らせて



そうして、品物を取りに来た事に託つけてこうして佐知とお喋りをするのが私のささやかな楽しみでもあった。




「なるほど、刺激ね。確かにずっと無かったかも」


佐知の言葉に相槌を打ちながら、でもその刺激が無い穏やかな生活を望んだのは他でもない自分なのよね、と頭の中で呟く。



「で、その雑貨屋の社長とやらはいい人なの?」

「社長じゃないよ、オーナー。経営者よ」

「どっちでもいいわ。で、男?女?」

「男の人。30前ってとこかな。すごく穏やかな人」

「へえ!そんな若い男が雑貨屋なんてやってるんだ?変わってるね」


佐知の瞳にキラキラと好奇心の色が浮かんだ。

こうなると彼女が次に尋ねる事はもう決まっている。


「その人、独身?恋人は?」






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