血染めの鎖
前者が王子、後者が奴隷。


当然と言えば当然の扱いだが、こうも扱いの差が激しいとブチギレたくもなる。



「てっ、テメェ……っ。奴隷の分際で俺ら民間人に手ぇ出そうってのかよっ、ええ?」


「ッハ、だったらどうした。奴隷?王子?民間人?どいつもこいつもおんなじ人間じゃねえかよ!

だってのに俺が一番下だあ?自分の顔見てから大口叩きやがれっ!先に喧嘩を売ったのはそっちだぜえ?

俺はその喧嘩を買った。それだけだ」



ふんっと腕を組みそっぽを向くトルガに、民間人である男は口元をヒクつかせ青筋をピキピキ。

これはもう、キレたとしか言い様がないだろう。



「~~ッ、ぶっ殺す!」

「殺っちまええいっ」

「奴隷の分際に身の程を知らしてやりなさいっ」



殴りかかる男にはやしたてる婦人に小賢しい民間人。

トルガはただ冷静にそれを一瞥するだけで男の拳を避けようともしない。



だって、あいつ(主人)に命令されてねえし。



きっとそう、トルガは言うだろうから。

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