そして 君は 恋に落ちた。


「……悪い、もう行くわ」


「うん。行ってらっしゃい」


珍しく疲れた表情を見せる瀬川君に、少し同情。


彼は一口も口にしなかった定食を前に立ち上がり、

「小林!」

大きな声で呼んだ。


「もしまだ決めてないならこれ食ってくんない?」


「お前は?」


「呼び出し。
 これからA社に部長と行ってくる」


営業部のエースはなかなかご飯のタイミングが難しいらしく。

最近ここでよく会う方のが珍しいんだよね。本当は。



瀬川君が立ち去り私の目の前には小林君が入れ替わりで座った。

そして、

「蕎麦かよ…」

またも私のメニューに嫌そうな顔をされる。
そんな中、松田君の姿を食堂で見なかった。



今日は外食……?


誰といるの……?






そんなことを考える自分が……嫌になる。


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