そして 君は 恋に落ちた。

勢い良くガラス戸を足で開ける。


「――ちょっと!!」


人に苦手なコーヒー淹れさせて寝てんじゃないわよ!


言う前に―――


「Happy Birthday!」



流暢な英語が耳に入り、次の瞬間には、薄明かりの中テーブルに乗った沢山のケーキに気付いた。



「これ…」


「誕生日、だろ?」


え…っと彼を見ると、照れ臭そうに目を逸らす。



ゆっくり時計に目を向けると、知らない内に日付が変わってて。


ああ、私の誕生日なんだ、って……やっと気付いた。



テーブルのケーキは近くのコンビニの物。

ショートケーキとチョコケーキ、モンブランにチーズケーキ、シュークリームと……何故かみたらし団子まで並んでいた。



「とりあえずケーキは必要だろ?」


ああ、さっきのコンビニはこれを買いに……歯ブラシなんて嘘ついてまで。


彼の優しさに、視界が歪む。


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