そして 君は 恋に落ちた。

その日は、いつもよりも人の目が気になった。


多分気のせいだと思うんだけど……。






「誰かと思ったらハルヒか!」

後ろからいつものように大きな声で話し掛けられる。


私は立ち止まらずいると、ビルの自動ドアを通りながら「おはよう」と私の隣に並んだ瀬川君。

私も彼を見て「おはよう」と告げた。



「いつもパンツスーツなのにどした?」


ストレートな彼の疑問にどう答えるか考えてなかった私は、口ごもる。

が、マイペースな彼は大して私の答えを待たず、「ま、いんじゃん?」と一人納得してエレベーターのボタンを押す。


……一瞬で酸素が脳に届いた感じ。


そのまま彼は営業のある4階フロアで下りた。
私は上の階、5階で下り自分のデスクに向かう。



「おはようございます」


その声に、ビクリと体が震えた。

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