そして 君は 恋に落ちた。



「なんだ、これ」


くしゃっと握り締め鞄に突っ込むと、急いで家に帰り支度をし、時間ギリギリに出社した。


先輩はすでに中にいて、俺の姿に気づいた。

――が、何事もなかったように挨拶をするだけ。



途端に苛つく心。




誘ったのはアナタでしょ?




「先輩、これ」


内ポケットから出した封筒。
呼び止められ緊張気味のその顔が、封筒を目にして首を傾げた。


「……? 誰から?」


先輩は警戒態勢をすぐに解除し、封筒を受け取る姿はすでにいつものキリッとした先輩で。


……なんだろ。苛つくな。




「俺からです」


言ったと同時に中身を見た先輩。

彼女が固まってる間に俺はそのまま部署へと戻っていった。


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