そして 君は 恋に落ちた。
17







二年見てきた後ろ姿。


紺色のパンツスーツに黒のバック。
唯一の色物は、黒に近い茶色の髪に一際目立つ白いシュシュ。

これで黒縁のめがねをかけたら―――



ほら。

春日 美和、その人。






受付前を通る彼女の後ろ姿に一瞬、立ち止まる。


最近は色の付いた、柔らかめな雰囲気の服装だったのに。またあの地味な姿で出勤し始めるなんて……

どんな心境の変化なのか。


俺と関係があってからガラリと変わったその姿に、内心嬉しかったんだけど……。



考えていると、春日さんに話しかける瀬川さんに気付く。

開いたエレベーターに乗り込む二人を見て、気づかぬうちに走っていた。


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