そして 君は 恋に落ちた。
「放して…っ」
ちらっと見えた、彼の後ろにいる彼女の姿。
少し離れているからハッキリとは見えないけど。
それでも、不安げな表情に私の顔が強張る。
「ダメだって言ってる」
後ろの彼女のことを忘れているであろう彼は、私の手を掴んだままグイッと強引に引き寄せた。
私は慌てて彼の胸に空いてる手を当て、引き剥がそうと押し出す。
「……お願いだから離れて」
「イヤだ」
「松田君…っ」
必死な私の呼び声に、俯く私の頭上から
「……そんなに俺が嫌いですか?」
と、力なく尋ねる彼の声が耳に響いた。
……嫌いなわけ無い。
嫌いになれたら………こんなに胸が苦しく、甘く震えるわけ無い。
「―――それとも、小林さんに誤解されたくない?」
言われて、顔を上げた。
―――どうしてそんな事を言ったのか、私には分からなかったから。
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