そして 君は 恋に落ちた。
―――ほら。見なきゃ良かった。
何度も見た彼女の姿。
目を見開き驚き顔で私達を見る彼女に、急激に冷める私の心臓。
「……放して」
期待して。
また、どん底に落ちる私の心。
―――見ないで。
ちゃんと分かってるから。
彼とあなたの邪魔をするつもりなんて、全くない。
私はただ、彼が通り過ぎただけの女だから。
だから……
「小林君、早く帰ろ?
松田君も彼女待たせたら可哀想よ。早く行きなさい」
薄い笑顔を貼り付けて。
彼が私を抱きしめていた手を緩めたから、そのまま振り払うように小林君の元へ足を向けた。
小林君は何も言わず、ただ私が近くに行くのを待っていた、けど―――
「ダメだよ」
また掴まれた私の手首に、思い切り痛みが走った。
『ダメ』?
何……? 何で?
振り向き彼を見ると、松田君は真顔で私を見下ろし、
「行かせない」
とさらに掴んだ手に力を込めた。
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