そして 君は 恋に落ちた。

駅までの道、すれ違うサラリーマンやOLが私をチラッと見た後、目を見開いて二度見する。

……あれは絶対うちの会社の人だ。


まるで化け物にでもなった気分。



〜〜♪ 〜〜♪ 〜〜♪


聞き慣れた携帯音に、ジャケットのポケットを探る。

画面を確認したら、瀬川君からで。……一気に嫌な予感。




「……はい」


『おー、お疲れ』


「うん。お疲れ様。
 どうしたの?」


『今から会社戻るんだけど、お前もう帰ってるの?』


「うん。駅まで歩いてる」


『はぁ? 早すぎだろ!』


「あれ?何か用だった?」


確かに今日はいつもより早かったけど。そんなに不機嫌になるほどですか?



『せっかくうまい酒見つけたのに!』

「うそ!」


『ホント。だからつまみ作って待ってろよ』



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