そして 君は 恋に落ちた。


「……何でこんなことに…」



床に散りばめられた私の服と彼のスーツ達。


シワになるんじゃないかと気になり、彼が起きていないことを確認しベッドから出ようと足を床に置く――――が。


「……どこに行くの?」


その掠れた声に、必要以上に体が揺れる。



「びっ びっくりしたぁ…!もう、脅かさないで…」

彼への抗議と同時に腕を後ろに引かれると、寝転がる彼の腕に捕まった。


「ちょ…っ 松田君寝ぼけてるの…?!」

「……シッ まだ夜明け前ですよ」

「いやいや、とにかく放し…」

「ほら、寝ますよ。静かにして下さい」


後ろから力一杯抱き締めてくる彼に、慌てて抜け出ようともがくけど。彼は寝ぼけてるのに、何故か力を緩めない。

むしろ、強く捕まえたまま。



「春日さん…」


首もとに触れる、彼の唇と吐息に。ビクリと私の体は跳ねた。

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