潔癖症の彼は、キスができるのですか?



「琴音ちゃん~冗談でしょ? こんな小銭で話にのるわけないじゃん」

「な、なんで⁉ 金額の指定なんかしなかったじゃない! それに私にとって、そのお金は大切な全財産なの!」

「う~ん……どうしようかなぁ」

「お願い! 彼氏とまだ付き合い始めたばかりなの。本当に本気で好きなの。こんなことで、別れたくないの!」


呆れている夏樹に、両手を揃えて必死にお願いした。私の言葉を聞いて、夏樹は咥えていた飴を手に取り、私の顔にゆっくりと近づいてきた。咄嗟に、スカートのポケットからあるものを取り出すと、夏樹にあっさり奪われた。


「わっ……返して!」

「防犯ブザーね。頭がゆるい子かと思ってたけど、案外しっかりしてるんだね~」


そりゃ、チャラい男にひとりで会いに行くんだから準備は必要でしょ。でも、あっさりと奪われてしまったら、全くもって意味がない。


「大丈夫。この間みたいに不意打ちでキスしないから。内緒話しようとして、近づいただけ~」

「内緒話なんかで、近づかないで! そこで話して!」

「あ、そ? 琴音ちゃんって処女?」

「はあ‼⁉」


な、なんてことをこの男は聞いてくるのよ! 朝から下ネタって、バカじゃないの⁉


「こ、答えるわけないでしょ!」

「教えてくれたら、完全にあのキス写真を削除してあげるよ~。パソコン、スマホ、全てにロックかけらていても俺なら簡単に侵入してウイルス感染させて、あいつの全データを壊してあげるよ」


ウイルス感染?



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