潔癖症の彼は、キスができるのですか?
「で、でも……、私もリップぬったから余計についちゃうよ」
「つかないよ」
「え?」
「キスの仕方によっては、お互い取れちゃうかもね」
いつになく色気のある笑みを浮かべる大窪くんに対して、私の頭は恥ずかしさで爆発寸前。キスの仕方って? お互い取れるってどんなキス?
「わ、わかんないって、きゃ!」
大窪くんは、パニックに陥っている私の肩を引き寄せて、顔を近づける。
「俺だってしたことないし、実際にしてみないと分からないよ。山口さんの予想でしてみて」
よ、予想でキスですかああ‼ 恋愛初心者の私には難しすぎるよ~!
「わ、私からするの?」
「うん。イヤ?」
イヤじゃないけど……。今まで受け身だったから、どこに手を置いて、どこを見ればいいのかさえ分からない。
でも、この雰囲気でキスを拒否することはできない。だったら、せめて。
「お願い。目……閉じて?」
大窪くんに目を閉じてもらったほうが、恥ずかしさが少しは軽減すると思うから。指先まで熱くなった体で、大窪くんにそう伝えた。