ライオンさんのペット
和雅side
ふと書類から目を上げると、壁に掛けてある時計が5時半を指すところだった。





もう、こんな時間か…






「藍沢、出るぞ。」



「和雅様、どちらに?」



「家だ。」





そう言うと、書類の束を両手に持った藍沢が明らかに呆れた視線を送ってきた。





「それはお帰りになると言うことですか?」



「そうだ。」



「和雅様…
この4日の間に貯まった仕事が半分も片付いていません。

それに、早急に終わらせなければいけない仕事がまだ残っています。ですから…」



「だが、終業時間はとっくに過ぎている。」



「今まで終業時間を気になさったことなど一度足りともなかったじゃありませんか。
まして終業時間に帰ったことさえありましたか?」



「ないな。
考えてみれば、会社を立ち上げてから終業時間に帰ったことなど一度もなかったな。」





藍沢は深い溜め息を吐いている。
その原因は100%俺にあるのだが…





「仕事の虫だった和雅様に、今まで私が幾度となくお帰りになるよう促しても決してデスクを離れようとはしなかったのに…
随分お変わりになられましたね。」





皮肉を込めて言ったのだろうが、正に事実だった。





「それはそうだ。早く帰ってやらないとペットが寂しがる。」




藍沢は呆れたようにまた溜め息を吐き、
「それは"絶対に"ないですからご心配せずとも大丈夫です。」
と、ニッコリと確信に満ち溢れた笑顔を作った。




「藍沢、それはどういう意味だ。
なぜそこまで言い切る。」




「外出中は人目もありますから安心なさっていたようですが…

朝の瑠唯様のご様子からするに、怖がって和雅様がご帰宅されるのを怯えながらお待ちかと。

ですから、瑠唯様のためにも瑠唯様がお休みになられた後にご帰宅される方がお喜ばれになると思われますが。」






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