止まない雨はない
かおりに言われて彼女の顔を思い出す…

はにかんだ笑顔が鮮明に思い出される…

彼女の唇の色…


春のような暖かい色だった…いつもと違う感じだったな…


「春のような感じの色だったような気がするが…なんだ?」


「そう…ゆうちゃん使ってくれたのね。

 その口紅、私があげたの。きれいになりたいって思ったら使ってって…

 今まで、一度も使ってくれなかった。

 それが、恭哉…あなたと会うために使ったのよ。

 その意味が分かる?」


かおりの言葉に想像をする…
「それって…」


「ゆうちゃんは少なくても恭哉を異性として意識している。

 恭哉にきれいだって見てもらいたいと思っているってこと」


「はぁ…なんだよ。

 俺は今日かおりとのデートは邪魔されて、妹と親友の間を取り持つ日なのかよ…」


浩介は力が抜けたように…ソファーになだれ込んだ。

< 137 / 197 >

この作品をシェア

pagetop